Lumière Collection

Lumière Collection
M'ay Library — another story

このお店は、どこの国だろう

— 世界観のこと —

ある日、ふと考えたことがあります。

このお店のイメージの根幹って、なんだろう。デザインだろうか。色だろうか。それとも、国だろうか。

なぜそんなことを考え始めたのか、自分でもよく分かりません。ただ、一度浮かんでしまったら気になって、しばらく考えていました。

答えは国。北西ヨーロッパでした。

行ったこともないのに、です。

フランスにもイギリスにも、まだ足を運んだことがありません。それなのに、しっくりくるのがそこだった。不思議な話だと思いました。

考えてみれば、私が初めて海外に行ったのは25歳のときで、行き先はチェコとオーストリアでした。

その後、台湾やアメリカなど、色々な国に行きました。カナダのトロントでは半年間暮らしたこともあります。もちろん、どこでも驚くことはありました。でもそれは、誰もが驚くような文化の違いです。あのときの衝撃には、届きませんでした。

滞在の長さでも、回数でもないのだと思います。

チェコで覚えているのは、特別なことばかりではありません。路面電車、スーパーマーケット、その日食べたご飯、空の色。何気ない日常を、全部覚えています。そして、教会のステンドグラスや、絵本の中に入り込んだような川に囲まれた小さな街。

オーストリアでは、ウィーン少年合唱団の歌を聴きました。人生の最後にこの声を聴きたい。そんなことを、あのとき本気で思いました。

シェーンブルン宮殿にも行きました。豪華だった、という感想ではないんです。生きている音が聞こえた、というのが近いです。かつてここで人が暮らしていた気配が、そのまま残っていました。

馬車が道を歩いていて、その脇で誰かがシャボン玉を吹いていました。人は多くなくて、誰も急いでいませんでした。

日本は、古いものをアップデートして暮らしていく国だと思います。お城の隣に高いビルが建っていても、それはそれで調和している。新しいものと古いものが、同じ場所で共存しています。

チェコとオーストリアは、今あるものをそのまま使っていました。景色を壊さないように街が作られていて、何百年も前のものが、何百年も前のまま置かれている。

正しい見方かどうかは、分かりません。ただ25歳の私には、そう見えました。

そして、時間の流れ方が
違いました。

そこに住む人たちはみんな、今を、流れるまま生きている感じがしたんです。

あのとき見たものが、ずっと残っていたのだと思います。北西ヨーロッパに憧れていたのではなくて、あの時間の流れ方が、いつのまにか自分の基準になっていた。

Lumière Collection

新しいコレクションに、Lumièreという名前をつけました。フランス語で「光」という意味です。

コレクションの中身は、自然や花の移ろい、海、星空、フルーツ。全面写真のデザインで、それぞれ光を取り込んでいます。

Lumière collection は、あのとき私が見た景色です。それを手のひらに収まる大きさにして、お届けします。

貯金は、先のためにするものです。将来に備えて、今を少し我慢する。

でも、貯めている今の時間まで、先のためのものにしなくてもいいのかもしれません。あの街の時間の流れ方が、手元にあったらいいなと思っています。

— M'ay